山内若菜氏作品展<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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以前から気になっていた画家・山内若菜氏のグループ展「実在派第55回展」を参観した。
フェイスブックで見かける作品は、独特の存在感を放ち気になっていた。
今日が初日で運よく在廊されておられ、しばらくお話しすることがかなった。
作品はいつも悲しく虚ろに見える。
未来を失った哀しみが漂っているようだ。
哀しみや苦難をキャンバスに切り取ることは困難の極みだと思う。豊かな感性のもとに描かれた作品は、人々の共感を得る力が溢れている。
だが、私は其処に立ち続ける気にはならない。
人は未来がなくては生きていけない。
たとえ失われる明日であったとしても、人に寄り添う作品でなければ共に住まうことは出来ないと思う。私は時間をともにしたいとは思わない。
今日展示会に足を向けたのは、山内氏がいくつか紹介した小品の作品を見たからだった。
掌におさまるほどのサイズだが、これがとても良い。
茫漠とした原野に小さな家がたたずみ、冬枯れた木々が立ち尽くしている。
小さな家の脇に人影が見える。
いや、私が人影としたいのかもしれない。
確かに人の息遣いを感じるからだろう。
この作品群には、人々の原風景を去来させる何者かを描き込んでいる。
山内氏自身の原風景が描かれているような気がしてならない。
3.11福島へのオマージュ「海」と「大地」の存在感は素晴らしい。
だが、福島の人々の視線の先には既に未来が始まっている。そこに留まってはいられない。福島のその時ではなく、それからを私は見たいと思った。
幸いにも気にいった作品を譲っていただいた。
机の棚に飾り、読書の友になるだろう。
来月、横浜で展示会があるという。
訪ねてみようと思っている。
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<スタッフ後記>
写真を見ているだけでも、心が伝わってきます。
「ここで立ち止まりたくない、歩き出したい」というところまでが作品である、という感じがしました。