ニコライ堂<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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先日、聖橋から坂を下り船越保氏の個展に向かう途中、道の向こうにニコライ堂の円いドームが見えた。東京に上京したばかりの頃、一度訪れた事がある。
船越氏の個展会場から大学関連のビル群を抜けて古本屋街へ向かったのだが、どの道もきれいに整備され建物は高層化され昔の古めいた面影は失われている。
神保町の古本屋街も、麦畑が四角く刈り込まれたように整えられて何処か秘密めいた魔法の街の面影はない。裏道でさえ拡張整備され、日あたりの良い道にはなってはいたが、雑然とした裏道に潜り込むようなときめきなど消え去ってしまった。
古書店を幾つか覗くのだが、魔法がとけたのか書棚を見つめる気力が続かない。
昔かよった古書店街も大学の建物や小道も整いすぎて、陰影が吹き抜けた明るい町に変わってしまった。
真直ぐに敷かれたタイルの歩道や直角の集合体のような高層ビルのはざまに、私が座る場所は見つからない。
諦めてニコライ堂へ向かった。
ここには遠い時間を抱えた空間がある。
祈りに満ちたやすらぎがある。
心の襞が留まり座る場所があるのだ。
見あげた聖ニコライのステンドグラスが美しかった。
聖橋への帰り道、コンパスで作った円い公園からニコライ堂を振り返った。
緑青に覆われたドームが懐かしく思われてならなかった。
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<スタッフ後記>
静かで心が落ち着きそうな場所ですね。
都会の風景に疲れたときに、ふらっと訪れたいです。