箱根の向こう(5)オリエント急行<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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ラリックやサラ・ベルナールの誘惑に時間を忘れた。
春があふれたテーブルに舞い戻り、遅い昼食をとることにした。
午後の日差しはすでに初夏にみち、そよぐ風は涼しく乾いている。
パラソルの陰で思い出していた。
セザンヌを追い訪ねた、南仏プロバンスで見上げたサント・ヴィクトワール山の風だ。
遠い昔、初めてヨーロッパを旅したとき、パリからベネツィアまでオリエント急行に乗車できないかと考えた。1ヶ月近くの長旅だったが、スペイン・マドリードのプラド美術館からパリのオルセーやオランジェリー美術館のモネ、ニースからモナコのグランカジノをへてイタリア・ベネツィアやアッシジからローマまで、欲張りスケジュールではオリエント急行で移動する時間はない。
次の機会にはと思い諦めたが、その後仕事で訪れたヨーロッパにその機会はおとずれなった。
以前に美術館を訪れオリエント急行のテーブルでデザートをいただいた。
ラリックのガラスのオブジェやテーブルから椅子、ちょっとした金具にさえやわらかな曲線が流れている。そこにはノスタルジックに満ちた、そして優雅な空間があった。
列車のかたわらで、少女が一人何かに向かっていた。
試しにオリエント急行でヨーロッパを旅した夏目漱石を想定し真似てみたが・・
オリエント急行でベネツィアのサンタ・ルチーア駅におり立ち、船が行き交う海の回廊をもう一度見たいと、今も思っている。
ルネ・ラリック美術館 オリエント急行
http://www.lalique-museum.com/letrain/
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<スタッフ後記>
風景ひとつ切り取っても、絵になる場所ですね。二枚目のランチの写真は、見ているだけでお腹が鳴ります……。
セピアのような写真も、なかなか味があります。