東山魁夷・雑感(2)<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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今回の展示会で初めて「道」の前に立ち、ただ懐かしいという感覚が私を蔽っていた。
画集で何度か見ていただけなのだが・・
魁夷の作品はどの作品にも独自の視線があり、画家との対話ができるような気がする。
「残照」から始まる戦後の変遷にただ見とれていくばかりであった。
その中でも「年暮る」は心に残った作品だった。京都の町に静かに雪が降り積もる。
幾つかの町家に薄明かりが微かに灯り、人の温もりが伝わってくる。
「行く秋」そこまで来た冬に、木々が命を輝かせる姿が美しい。
唐招提寺御影堂の障壁画など飽きることなく何度も最初から鑑賞した。
帰り道、本棚の隅にある魁夷の画文集を再読してみよう考えていた。
自宅近くの馴染みの古書店に立ち寄り、何時ものように店内の棚を見上げていると東山魁夷の名前が飛び込んできた。
東山魁夷画文集10巻と別巻までそろって棚にあったのだ。
多分、以前からそこにあったのかもしれない。
ただ、私が振り返る時を待っていたようにも思えてならない。
-続く-
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<スタッフ後記>
電子書店がどんどん利便性を増していく中で、
ふとした偶然の連続から書店で本を見つけたときの、
あの何とも言えない嬉しさは代えがたいものだと思います。