長崎の再会に(7)<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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風頭公園の清掃をされていた女性に、眼鏡橋までの帰り道を相談した。
このまま先ほどの道を降りれば、膝にかなりの負担がかかりそうである。
右手の墓の道を下れば早いが、古い階段が続き難所もある。左手の石畳の道を遠回りにはなるが優しい道だと教えていただいた。
この道は車も上がれる道なのだろう。
相乗りタクシーの待合場所があり、老齢の女性がベンチに一人座っている。日差しの中、何かを書いているのか謡っているのか杖が踊っていた。
細い道はうねうねと下り亀山窯跡の案内を過ぎた頃、水の音が聞こえてきた。
道を見下ろせば神社が見えた。
若宮稲荷神社の社殿は苔むし、歴史を抱えた石段はいびつに傾いている。
鳥居脇の流れは早く、そう高くもない山には奥まった水源があるのだろうか。
だがこの渓流もひとたび豪雨となれば、噴流となって中島川へ流れ落ちるしかない。
今は静寂の谷間に渓流は、小石に跳ねる音を残し走っていく。
流れに沿い小道や階段を下り、街中へもぐりこみ中島川に出逢う。
川沿いに幾つかの橋を過ぎ、ようやく眼鏡橋だ。
ベンチに座り待っていた眼鏡橋の道沿いのカフェが開店した。
珈琲とシフォンケーキのホイップも多めにし、川沿いのカウンターで冒険後の足裏の痛みを楽しみながら暫く振り返っていた。
眼鏡橋脇の階段を下り、川床から見上げている。
鯉が人影を追ってきた。
友人が迎えに来る時間だ。
賑わいを見せ始めた商店街を抜け、思案橋近くのホテルへ急いだ。
-続く-
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<スタッフ後記>
眼鏡橋、かわいいです。
森がよほど早起きだったのか、徐々に町が起きだしてきた様子がうかがえます。
ちょっとした、いえ、かなりの大冒険となったようです。