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長崎の再会に(6)<※事務所代表 森のfacebookより転載>

Date:2018/10/19

※事務所代表 森のfacebookより転載

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確かに坂本竜馬像へ行くのはやめた方が良いと、長崎の友人から言われていたのだ。

朝、台風一過の青空が広がり清々しい光があふれていた。午後からの大学での講演までしばらく時間がある。

やはり安部は早朝から原稿用紙と格闘している。食事も遅くになるだろう。

寺町界隈から眼鏡橋あたりまで散歩しようと早朝のホテルを抜け出した。

 

思案橋から、幾つものお寺を過ぎると近隣の名所の地図が壁にかかっていた。

亀山社中までだとそれほど距離はなさそうだ。

それに近日、東大阪の司馬遼太郎記念館へ伺うことになっている。挨拶かたがた見学することにした。

だが、一区切りの階段を上れば、さらに右に左に曲がるたびに階段が湧いてでる。

延々と続く階段の両脇には人の住む家々があり、見事に手入れされていた。生活する人々の息遣いが聞こえている。

意気が上がり、階段に座り込み長崎の街と海を何度も振り返る。

ここで生活するのは容易ではない。

 

ようやく亀山社中記念館へたどり着くが、時間が早くまだ閉まっていた。

時間まで、そう遠くないはずの坂本竜馬像と文学碑を見に行くことにした。

だが、ここからが長かった。高さは地図には書かれていなかったのだ。

ようやく風頭公園へたどり着き、もうそこだと安堵した先に、最後の階段があった。

さすがに、司馬遼太郎を恨みたくなった。

その先の坂の上の展望台に、坂本竜馬像は真直ぐ青空に立ち長崎港を見下ろしている。

「竜馬がゆく」に描かれた志士の生き様に憧れ、闇夜に腕を振り回した時代を懐かしく思い出す。

坂の街長崎に、ほろ苦い時代への郷愁を感じていた。

 

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<スタッフ後記>

高さは地図に書いてはいない。

この途方もない坂を登ってきたものだけが言える、重みのあるセリフです。

本当にここで生活されている人々はすごいです……。