長崎の再会に(2)<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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大浦天主堂から別れた小道に人影はない。暫く進めば雑踏も消え静寂をつつむ空間が遠い時代のまま佇んでいる。
小道の脇に小さな石柱があった。
「この石評柱は長崎居留地時代の遺構です」とある。
欠けた石柱は苔むし時代を刻んで座っている。
その先のわかれ道を天主堂沿いに登る。石段を見上げると墓が見えた。
正面には天主堂の壁面があり、古い石垣の上には累代の時代を経た石塔や文字も新しい墓など混在している。墓地は今も人々に供養され活きていることを感じさせる。
赤レンガの壁と苔むした石垣のはざまの小道を挟み、キリスト教と仏教が時を忘れたように祈り続けている。
振り返れば、長崎の空に天主堂の十字架が讃美歌を歌っているようだった。
壁が続き石垣が途絶えた先に、朽ちたレンガの鉄門が閉じられていた。
「立ち入りを禁ず・カソリック大浦教会」その表札の向こうには荒れ果てた敷地が広がっている。その先の瀟洒な門は時に覆われ、かつて大きな洋館の痕跡が微かに感じられた。
小道の坂が左にそれ、その先の壁に「祈念坂」とあった。
-続く-
余談:書いている途中で「祈念坂」を調べると、映画のロケ地にもなったそうです。印象に残る小道でした。
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<スタッフ後記>
海沿いの町並みは、どこか異国情緒を感じさせます。
坂が多いといわれる長崎ですが、確かにこの祈念坂には雰囲気があります。
見るぶんには良いですが、歩くの大変そうです……。