金沢再訪、初夏に空高く(5)<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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本多の森公園の散策後、今回の目的「研声舎」林氏の舞台参観し感激した。
翌日も晴天に恵まれ、帰途立ち寄りを楽しみにしていた白馬美術館へむかった。
国内有数のマルク・シャガール専門の美術館だと聞いていた。
新幹線を糸魚川で降り、大糸線の普通列車・南小谷行へ乗り換える。
さらに白馬まで普通列車の乗り継ぎである。旅先での普通列車での行程など久しぶりである。一駅一駅に立ち止まり、大糸線に寄り添うように流れる姫川を遡っていく。
川沿いの渓谷の高台から細かな支流が白い滝となって下り落ちる。河水の色は深い碧をたたえ初夏の色は見えない。
向かい合う4人掛けの椅子の背もたれは垂直に立ち、少ない乗客の視線もない。
車窓からの眺めに時間を忘れた。旅という時間が無人駅を過ぎるたびに心を満たしていった。
白馬に着いた。
遥かな峰々に雪が残り、澄み切った青い空に無数の白馬が草を食んでいる。
優しい山々が駅前に出迎えてくれていた。さっそく、タクシーで白馬美術館むかった。
だが、美術館の門はしまっている。運転手の方も慌てて車を降り、正面玄関の表示を確認した。
やはり休館であった。
今年の4月から来年の3月まで閉館だという。休館曜日は確認していたのだが、一年間の閉館など知る由もない。運転手の方もすまなそうに「どうしますか?」と問われたが、苦笑いのまま「ここから散歩します」と答えるほかなった。
日差しは初夏である。だが、雑木林は漸く芽吹き始めたばかり。桜が満開に咲き誇り、ハナミズキの花も深い赤紫に色づいている。美術館は山の傾斜をいくらか登った場所にある。一斉に掌を広げた春の色を追いながら、だらだら坂を下った。
美術館でランチのつもりではいたのだが、地元の蕎麦でこれも良しとする。
フランス・ニースのシャガールに会わず、白馬のシャガールに会えず、白馬を振りかえった。
ひと時の春も、初夏の日差しに色を深くしていくようだ。
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<スタッフ後記>
まさかのハプニング……。
でも地元の蕎麦屋さん、すごくおいしそうです。
花たちもとてもきれいですね。