金沢再訪、初夏に空高く(3) <事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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鈴木大拙館脇を抜け、木々が木陰を深くしている「松風閣庭園」へ進む。
広く切りわられた池が、苔むした庭園に広がっている。人影も少なく木陰に漂う風もかすかだ。
池の護岸を歩くうちに気が付いた。北陸放送の名が脇の建物に掲げられている。
5年ほど前、安部が北陸放送出演後ご紹介いただいた庭園だった。松風閣の庭先まで拝見させていただいた覚えがある。
その昔、船を浮かべて遊んだ逸話などお伺いした。
二十年前にもなるが安部の作品「生きて候」の主人公「本多政重」ゆかりの庭園だった。
安部は政重を戦国に持ち前の武勇と豪胆、さらに厚い情に生き抜いた戦国武者として描いている。
作品を思い返しながら、静かにたたずむ庭園を暫し楽しんだ。
鈴木大拙館側から森に続く道をいく。急に芝生の広場が広がり、向こうの竹林がざわざわと鳴き始めた。
暫く歩いた先に案内板があった。この一帯は「本多の森公園」と呼ばれ、旧本多家の武家屋敷だったという。
迂闊にもこの広々とした公園全体が本多家ゆかりだとは全く知らなかった。加賀家筆頭家老の威信のただならなさに驚いた。
看板脇から森の道へはいる。木陰に鮮やかな緑が木漏れ日に揺れて美しい。
石段に躑躅がこぼれていた。その上に滝があるのか水の音が聞こえる。
好奇心のまま石段を登った。
-続く-
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<スタッフ後記>
庭園などが作られたタイミングは、現代と世相も分かもまるで違っていたはずなのに
いつの時代の人が見ても心に何か来るのはなぜなのでしょうか。
遺伝子に刻み込まれた美意識なのでしょうか。