金沢散歩(終)金沢城から兼六園
※事務所代表 森のfacebookより転載
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2月26日
金沢散歩(終)-雪の金沢城から兼六園-
尾山神社の閻魔大王が大きな口を開いた「神門」をもう一度くぐり、境内から東神門へ戻れば正面に金沢城が立ちふさがる。
記憶にある金沢城は、大手門から一面に芝草が広がっていたのだが、裏から登る城は近年整備されたのか洗われたような坂道が続いている。
新築と思しき休憩所脇に「玉泉院丸庭園」と表示されていた。手入れされたばかりの庭園に、雪さえ遠慮しているのか土の顔が赤くまだ若かった。
見あげた先の三十間長屋へ向かうと、石垣の狭間に未だに多くの雪が取り残されている。奥にかかった石垣の狭間を渡す極楽橋に人影はない。
晴天に底が抜けた蒼い空と晴れ上がった雪の純白が目に飛び込む。息が弾むほどの白さに城長屋と櫓の瓦が浮き上がっている。
初めての雪の金沢城を見た。黒々した松が一面の雪に際立っている。
さらに、戌亥櫓(いぬいくるわ)跡から二の丸を望めば雪に覆われるかつての城郭を偲ばせる。無人のベンチに風もなく、春を思わせる日差しが温かい。
歩き疲れて鶴の丸休憩所で一休みする。前面ガラスの休憩所の正面には、雪を前に広げた橋爪門と五十間長屋が青空を背景にした書割のように張り付いている。少し恥ずかしくなるくらいの風景を前にして、少し砂糖を入れた珈琲で暫く掌を温めていた。
金沢城石川門を抜け、茶店通りから瓢池へ抜ける。何度も訪ねた兼六園には観光客の熱気のせいか雪もあらかた溶けてしまっていた。夕顔亭の脇を抜けて霞ヶ池に向かう。いまだ池の水は寒々と蒼かった。
蓬莱島を右手に観ながら池の周りを辿った先には兼六園の名所「徽軫灯籠・ことじとうろう」がある。着物を着た女性の観光客や学生服の集団がたむろして自撮り棒がいくつも伸びていた。
記念に一枚写真を撮るのもタイミングが難しい。
ここで携帯電話の電池が切れ、更に私の非力な体力も涸れてしまった。
桂坂口から金沢駅へ向かう車窓から街並みを眺めながら、次回4月の末に参観する「研声舎」林氏の舞台の前に、今回参観できなかった心残りの場所を幾つか訪れようと考えていた。
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【スタッフ後記】
私は近代的な建物や景色に心が踊るタイプなのですが
こういった自然と古来を感じる景色をみていると、やはり穏やかさと懐かしさといった感情がやってきます。
平成生まれの若僧にも、遺伝子レベルで感じるものがあるようです。