金沢散歩(2)四高記念館から尾山神社
※事務所代表 森のfacebookより転載
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2月26日
金沢散歩(2)-石川四校記念・近代文学館から尾山神社-
武家屋敷から用水路をたどりながら、香林坊へ向かう。
用水路沿いには粋なレストランやBARが続いている。
今は私にとって無用の世界だが、その昔夜な夜な出没した町の名とバーボンの香りがよみがえる。
懐かしさとほろ苦い思い出に拳を、コートのポケット深く沈めていた。
不意に街並みが明るく広い通りへ変わる。
香林坊だった。石川の繁華街として有名であり、都会の雑然とした賑わいがそこにあった。
昔に何度か訪れた場所だが、ほとんど記憶がない。当時見ていたのは街ではなく書類という紙の束でしかなかった。
大通りを渡り西へ向かうと、レンガが紅く懐かしい建物が見えてくる。
石川四校高記念・近代文学館は、講演やイベントなどでご縁があつたのだが、訪れたことはなかった。
北陸石川で有名な三文豪、泉鏡花や徳川秋声、室生犀星などの名が直ぐに浮かぶほど文学が盛んであり、哲学の巨人西田幾多郎や鈴木大拙などを輩出した風土を象徴するかのような建物である。
古風でありながら、佇まいに何処か奇知が漂っている。残雪が残る広々とした公園に際立っていた。
近代文学館の展示は志向を踏まえた興味深い展示内容であった。又、石川四高記念館の展示は、青春時代を謳歌し時にバンカラを装い心の襞を懐に仕舞い込む姿が、腕組みし顎をそらせて意気込む姿が写真に映し出されている。
初めて太宰に出会った頃の記憶を呼び覚し、面映ゆくさらには懐かしさを感じていた。セピア色の写真の奥から、学生寮の廊下を声高に走りさる友人達の顔が浮かんできた。
交流館を出ると雪が一面に広がった公園に一本の真直ぐな道が延びていた。
導かれるように進むと、右手に金沢城が見えてくる。交差点を過ぎ鬱蒼とした大木に覆われた神社がお城に寄り添うように現れる。
「尾山神社東参道」石柱が立っていた。東参道の石段を登り東神門から境内へ向かう道沿いには大きな杉が深淵の空間を囲っている。
境内へ進んだ先の池には大きな鯉がまどろんでいるのだが、変わらない背丈の猫が狙っているのはその鯉なのかどうか、休息がてらゆったりと観ていた。
雪を纏った前田利家公にご挨拶し、本殿で手を合わせて「神門」を見あげた。
近代に建築され神社にしては不可思議な建物であるのだが何処か南蛮文化の香りが漂い、鳥居から覗く姿は以外にも違和感なく懐かしさを呼びおこす。参道から振り返ると、雪が残る参道を登り「神門」をくぐる参詣者が、閻魔大王に飲み込まれていくようにも見える。
金沢の真昼の幻想を片目は閉じて楽しんだ。
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【スタッフ後記】
ここ数日は東京もだいぶ暖かくなってきましたが、写真から見る金沢はまだまだ雪が多く、
神社の静けさと雪の白さが良く合っていると思います。
暖かくなったら、金沢へいきたいです。