身延山久遠寺
※事務所代表 森のfacebookより転載
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11月12日
写真展示会場の南部町立美術館を後にし、南部町ゆかりの円蔵院へ向かった。
この寺は穴山信友公の菩提寺として創建され、有名な穴山梅雪がなき父の遺影を寄進した寺である。
住職のご厚意により幸運にも拝見させていただいた。
円蔵院から最終目的地の身延山へ向かった。
途中、近藤氏のご紹介で精進料理をいただいた。
広々とした庭に野猿が闊歩し野趣満載の趣である。
しかし、この塔頭で飼われている大きめの猫が、のそりのそりと野猿へ向かうとボス猿を含め数匹が慌てて逃げ始めた。
驚いたのは、何処にいたのか子猿が枝から転がり降りて母猿が急ぎ抱えて逃げ出した。
二匹の猫は何事もなかった如く日差しがあたる中庭を闊歩して行った。一同見とれるほどの貫禄であった。
身延山久遠寺、日蓮上人が法華経の根本道場として指定し、日蓮宗総本山として信仰されている。
日蓮宗総本山とは聞いていていたが、訪れるのは初めてである。
大伽藍のなか樹齢400年のしだれ桜をはじめ桜の大木が伽藍の側に寄り添っている。
桜の頃、淡い吹雪が伽藍と五重塔に舞う景色を思わせる。
その奥に三門から本堂へ向かう有名な菩提悌の石段があった。
この278段と聞く石段を見下ろせば、足が竦むほどの急こう配である。
以前、心筋梗塞で負った傷で心臓に若干難がある私を気遣い、車を伽藍近くまで誘導いただいた。
私は一番の天敵を見下ろし、登りくる人を畏敬の念で見送っていた。
そんな私も高いところからの眺望が嫌いではない。
まして晴天の身延山であり、好物のロープウェイがある。
乗り場までの階段を一歩一歩進むと、同行の面々は気遣いながら付き合っていただいた。感謝している。
ともあれ、ロープウェイは早い。750メータの高低差を7分で登りきった。
空気が一気に変わる。清々しい山の息吹が胸を満たしている。
落葉樹が少ない山頂部から見下ろせば錦秋の彩が霞みながらも華やいでいる。
東側展望台から見下ろせば、眼下に富士川が滔々と流れ、無毛山から天守山地の向こうには富士山が望み、幸運に恵まれたなら駿河湾まで眺望かなうという。
北側展望台からは南アルプスから北岳が望み、武田信玄が座る甲府盆地にたどり着く。
京都から富士宮そして南部身延山のイベントや取材同行など、多彩な出会いに満ちた旅となった。
主役の友人は休む暇もなく疲れたとは思うが、長年の付き合いにご容赦いただこう。
帰京する車中では、今後の作品のあれやこれや友人との話題は尽きなかった。
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【スタッフ後記】
278段の石垣とは、すごい光景です……。
高いところからの景色は心をすっと軽くしてくれる気がします。
ロープウェーからの景色も見事です。