桃山展
※事務所代表 森のfacebookより転載
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10月15日
昨日の早稲田オープンカレッジ講演後、夕方の飛行機で福岡空港へ向かった。
遅い時間にホテルへ入り夕食を済ませると翌日に備え早々に部屋に引き取った。
安部は早朝から連載中の「家康・不惑篇」の原稿と格闘し朝食のテーブルにつく。
うらなりを自負する私は、友人の体力と気力には何時もながら敬服せざるを得ない。
展示会担当の方がホテルまでお迎えに来ていただき国立九州博物館へ向かう。
到着後早速にも研究員の方から展示品の概要を丁寧にご説明頂いた。
中でも、私が楽しみにしていた教科書にも良く掲載れている「聖フランシスコ・ザビエル像」を目にすることができた。
禁教後に描かれた作品であり、隠れキリシタンが密かに筒の中に忍ばせていたという。
歴史の一コマを眼前にして異国の香りと共にざらつくような手触りが伝わってくるようだった。
遠藤周作の「沈黙」世界を思い起こさせた。
残念ながら長谷川等伯「松林図屏風」や狩野永徳「檜図屏風」は展示期間が違い見る事はできなかったが、初見の永徳「唐獅子図屏風」の迫力には圧倒された。
今回、特別に感慨深かったのは、かつて文芸部へ所属していた友人S君と卒業以来の再会がかなったことだった。
工学系の学校で文芸部へ入部した数少ない部員である。
安部と私がロビーで待っていると、軽く手を上げたS君が飄々と歩いてきた。
四十数年以来の再会なのだが、昨日別れたような違和感のない当たり前の挨拶をする。
この三人と今日は不在だが大津市にいるY君が部員のすべてである。
何とも夢ばかり大きかった仲間たちだった。
「桃山展」の大看板の前で極めて小さな文芸部の再会を祝して記念写真を撮った。
今回の桃山展での講演は、「天下人と大航海時代」と題し最近上梓した大友宗麟を描いた「宗麟の海」や戦国時代を問う作品「家康」などを交え、新しい歴史観の下に戦国時代の真の姿をお話した。
会場を離れる前、レプリカではあるが「松林図屏風」の前で記念写真を撮った。
まったくの逆光で表情は見えないが、記念すべき長谷川等伯作品の前での記念写真である。
満足そうな二人の顔を想像いただいて結構である。
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【スタッフ後記】
私も先日、数年ぶりに友人と再会したのですが、時間の流れなどなかったかのように
昔のまま話をすることができ、なんともくすぐったく、そして嬉しい気持ちになりました。
いつまでたっても友は友だということを再認識できました。