「セピア色のヨーロッパ6」 パリ・リッツ
※事務所代表 森のfacebookより転載
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「セピア色のヨーロッパ・6」
パリだ!
そう、十代後半に忽然と私の前に現れた「アルチュール・ランボー」という詩人がヴェルレーヌと徘徊した町。アポリネールやボードレールが気勢を上げ、陰鬱とした雲と煤煙が立ち込めた石畳が続く坂道のモンマルトルでヴァン・ゴッホはゴーギャンとの画家の村を夢見る。ムーランギャレットの広場にはルノアールの木漏れ日のもと着飾った男女が踊り、十九世紀後半の歓喜と狂気が渦巻いている。解き放された魂の噴流が溢れたパリへ小林秀雄の「ランボウ詩集」は私を放り込んだ。
そのパリへ着いた。そして、いにしえの香りが漂う憧れの「オテル・リッツ・パリ」へ向かった。
ヘップバーン「昼下がりの情事」の舞台でもあり、ココ・シャネルのリザーブテーブルの椅子に人影もない。
クリスマス間近な日、昼食にはまだ早い時間だった。
部屋は確か三階の中庭に向かい、空が古いガラス窓に歪んで見えていた。ヘップバーンが映画で窓の壁沿いを歩いた部屋ではなかったが、バスルームには古の映画で見かけた白い大きなバスタブが部屋の真ん中に座っていた。ジェルで泡立たせた湯船に、バスタオルを頭に巻いたヘップバーンが浸かっている映画を思い浮べる風景だった。パリの真ん中に来たと実感した瞬間だった。
トランクを放り投げると疲れた体は夢見心地のベッドに沈み、ヘップバーンも置き忘れて睡魔との添い寝に時を忘れてしまった。
夕方ようやく気が付き、バッグを担ぐと最初の目的地モンマルトルへ向かった。
続く・・ 写真はイメージです。
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【スタッフ後記】
弊所代表森による大人気?シリーズである「セピア色のヨーロッパ」
読者の皆様も、昔訪ねた異国の地を思い出すきっかけになっているのではないでしょうか。
私は早く海外旅行に行ってみたいです。