「セピア色のヨーロッパ5」
※事務所代表 森のfacebookより転載
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マドリッドから列車でトレドへ向かう。
都会から一歩離れると荒涼とし赤茶けた丘が始まり、冬の季節のオリーブの葉の緑は薄く枝に張り付いていた。
初めてのスペインではあり、バルセロナのガウディ・サクラダファミリアやアンダルシアのアルハンブラ宮殿など訪問したい名所がいくつもあったのだが、古都トレドだけにして以後のスケジュールを優先した。
ただ、今もって再訪の期待はなかなか遂げられそうにはないのが残念である。
トレドは川を堀とした城郭都市であり、城壁が市街を囲い込むように中世の趣のまま小山の上に座っていた。
橋を渡り市街を歩けばサーベルを提げた騎士たちが、直ぐそこから曲がって来そうな石畳が続いていた。
商店の並ぶ側道にはショーウインドに甲冑やサーベル、切れそうな骨太のナイフを飾った店が多い。
聞けばトレドの中世からの特産品らしい。
歴史を感じる小さなホテルに投宿したが、愛想よく近づいてきた少年は、わきに抱えたカバンからお見上げの小物を取り出して買ってくれと言っているようだった。
困惑しているとホテルのスタッフが慣れた様子で追い出したのだが、少年の瞳がやたら澄んでいた事を覚えている。
トレドの一番の思い出は、トレド大聖堂とエル・グレコの『聖衣剥奪』だった。深く輝くエル・グレコの赤が心に焼き付き、天に向かう視線が新たな世界への憧憬を感じさせていた。
その他の多くの作品も展示され、さながらエル・グレコの街と言っても過言ではないだろう。
市街を歩けば、小道の先に手入れを怠らない中庭に目がとまる。
冬に向かうこの季節に白壁に飾られたシクラメンの赤い花籠と飾り陶器が乾いた日差しに美しかった。
翌日、クリスマス・イルミネーションの準備が始まったマドリッドからフランス・パリへ向かった。
※写真はすべてイメージです。
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【スタッフ後記】
スペインは、是非一度訪れたいと思っている国の1つです。
訪れた際はサグラダファミリアを筆頭に、ガウディの手がけた建築物を見たいと思っていたのですが、
今回の記事で古都トレドへの興味がかなり高まりました。