ポーラ美術館1
※事務所代表 森のfacebookより転載
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8月15日学生時代の友人が死んだ。そして、今日17日次男に初孫が生まれた。
終戦記念日、少し体調が戻り雨ではあったが気晴らしに車で伊豆仙石原のポーラ美術館へ向かった。
数日前、同期生のS君から、野球部のK君が胃を悪くて入院したとメールが着ていた。
だが、頑張り屋のK君は少々の病気に負けるはずがないと独り決めしていたのだった。
高速道路の御殿場へ向かう途中、訃報が届いた。
なんともあっけない「永眠されました」という文字。
御殿場インターからの山道は延々と続き、幾重にも折れ曲がっていた。
同じ頃、同級生の安部も娘夫婦との里帰りの途中で驚いているのだろう。
S君と連絡がつき状況を聞くが、説明は心のうちに届かなかった。
今日、なかなか記事を書く気が起きず図録を眺めていると、お昼を過ぎたころ次男から長男誕生の連絡があった。
次男の妻の実家山口で先週から病院を何度も行き来しするものの、なかなか生まれないと連絡が頻繁に届いていた。
「ようやく生まれた」と思う安堵と友人の思わぬ逝去に、運命や宿命などと言いう言葉が去来し「命」という篝火の危うさや有難さを、終戦記念日に何事か思わずにはいられない。
ポーラ美術館(1)
「ピカソとシャガール」愛と平和への讃歌
盛夏にはめずらしく長雨が続き、常緑の緑が濡れ肌寒くも感じる。
エントランスではヘンリームーアの像が迎えてくれた。ポーラ美術館へは初めての参観である。
二十年以上前になるが、スペイン・マドリッドのプラド美術館へ「ゲルニカ」を目指して旅立ったことがある。
そのタペストリーが絵画と共に展示されると聞いていた。
この二人の画家を繋ぐのは戦争の20世紀の暗黒と憤怒。
そして、南フランス・光あふれるプロバンスのアトリエ、カンヌのピカソとサン=ポール=ド=ヴァンスのシャガール。
たどり着いた地中海の光の中、現代へ続く芸術を昇華させ続けた二人の輝きの一端を見ることができた。
残念ながら「ゲルニカ」は既に展示を終えていた。
だが、落胆のなか、ピカソ・ギリシャ神話をもとにした「ミタウロマキア」、シャガール・国際連合・記念講堂ステンドグラス原画をもとにした「平和」の二人の大きなタペストリーが迎えてくれた。
ピカソ「海辺の母子像」静寂の中幼子を抱えた母親が赤い一輪の花を捧げている。
深い鎮魂に蒼く沈んだ海と赤い花が際立ち目を離せない。
「裸婦」キュビズムを具現化し、時代を引き回したピカソらしい作品。
「花束を持つピエロに扮したパウロ」ピカソらしからぬ、しかし息子への愛情にあふれ華やかな希望に満ちている。
手に添えた花束が光輝いている。
「帽子の女」最後の伴侶ジャックリーヌ・ロックをモデルとした肖像だという。
モデル女性と画家本人をバラバラに解体し、それぞれが対峙しながら精神と肉体を一体化させた、シュールレアリスムによる二人の関係性の姿のように思う。
ポーラ美術館(2)へ続く
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【スタッフ後記】
今年の夏は激しい暑さと長雨にさらされ、体調を崩された方も多かったのではないでしょうか。
外の暑さや天気に悩まされることのない美術館というスポットを訪れるのは
案外一番良い夏の過ごし方なのかもしれません。