川端龍子・日本画展
※事務所代表 森のfacebookより転載
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7月28日 夏の蒸し暑い一日。仕事を早めに切り上げて、渋谷近くの山種美術館を訪れた。
以前NHK日曜美術館で紹介された「川端龍子・日本画展」へ恵比寿駅からの坂を登った。
テレビ画面で見た強烈な個性の人という印象以外、川端龍子という画家をほとんど知らない。
今回感じたのは「情念の画家」。そして画題や画風が尋常ではない振れ幅に戸惑ってしまった。
最初に目を引いたのが「爆弾散華」畑に落ちた爆弾に菜園の野菜が吹き飛ばされ、切れぎれに飛び散る。
吹き飛ぶ畑の金箔の土が輝きのまま粉々に舞い上がり、爆風や恐怖が遥か遠くへ感じられる。恐怖や怒りの先の狂気の輝きだ。
「香炉峰」第二次大戦中の戦意発揚を狙った戦争画とは思えない。戦闘機という当時の先端技術と機械の起立した存在感が全くなく、透明な機体に搭乗した乗員が悲しげに写っている。
「草の実」闇夜に一瞬の強烈なストロボに浮かびあがった草原が印象的だ。
「金閣炎上」燃え上がる金閣に立ち込める情念を、煙と炎の背後に描き込んだ悲しみが漂う作品のように思う。
川端龍子という画家は、時代の喜怒哀楽を強烈に描き続けた詩人なのだと感じている。
天衣無縫の作品は見る者を飽きさせない。
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【スタッフ後記】
金の色使いの見事さや『金閣炎上』の炎の力強さが画像からでも感じられ、
川端龍子の絵に込める情念がうかがえます。
「川端龍子・日本画展」は8月20日まで開催しているようなので、皆さまぜひ実際にご覧になってみてください。