四国新聞連載開始 / 水墨の風
※事務所代表 森のfacebookより転載
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「家康・不惑篇」が7月10日より四国新聞へ連載開始となった。
昨年からの連続の連載となり、改めて三方ヶ原の敗戦からの再起と苦闘、そして家康飛躍の道程をお楽しみいただければと思う。
先週都内で打合せがあり、気になっていた「水墨と風」と題した展示会にようやく訪れることが出来た。
安部の著作「等伯」から水墨画への世界への関心が広がっている。
いつもの如く浅学の身であり只々印象に引かれるまま参観し、心の片隅に何かしらの潤いを持ち帰ることができれば良しとする。
出光美術館を訪れるのは「宗像大社国宝展」以来3年ぶりである。
世界文化遺産登録され地元は大変な賑わいだともれ聞いている。平日の午後にも関わらず会場は賑わいであった。
長谷川等伯に大きな影響を与えた雪舟や牧谿など、江戸期の鬼才谷文晁や浦上玉堂など私の目を引く作品が多く展示されていた。
いくつかの作品を上げると、牧谿「叭々鳥図(ははちょう)」小枝の先に小鳥が止まった一瞬を切り取っている。
小鳥がここに在るというのではなく、今ここに居て次の瞬間飛び立つ姿、生きている小鳥そのもののように感じた。
谷文晁「風雨渡江図」嵐の中小舟が川を下っている途中、一閃の光が走っている。水墨画の濃淡の真ん中に荒々しく白の空白が光となって現れる表現に驚かされた。
雲の切れ間から真直ぐに差し込む光が、荒れすさぶ川面に浮かぶ小舟の先行きを照らしている。
浦上玉堂「奇峯連聳図」これが水墨画なのか?そう思った。
峰々をデフォルメし剣山の先を思わせる鋭角の山々を小気味よく描いている。
奥の山には紅を薄く差し背景の色としている。
まるで現代アートだ。名は聞いたことがあるのだが何も知らない画家が何人もここにもいた。
等伯「四季柳図屏風」等伯だけはいくつも作品を見ている。
今回この一点だけが金箔に着色した作品であった。
だが、水墨画の陰影のなか何故かまったく違和感を持たない。
金箔の背景に柳の枝と葉は静かに揺れて、みる者を落ち着かせ静寂の世界を広げていく。私が感じる等伯独特の世界である。
個々の作品に魅入られて暫し時間を忘れてしまった。
ロビーわきで無料の緑茶をいただきながら梅雨空の皇居を眺めていた。
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【スタッフ後記】
四国新聞にて『家康 不惑篇』連載開始とのこと、嬉しい限りです。
これからも一人でも多くの方々へ作品を届けられるように
オフィシャルサイトの運営もより一層頑張ってまいります。