ダ・ヴィンチ&ミケランジェロ
※事務所代表 森のfacebookより転載
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今日は女性であり、母であり、そして恋人であった方が亡くなった話題で溢れていた。
人の死を軽々に語れはしない。
だが、彼女が最後に語った言葉が「愛してる」と聞き、愛される以上に愛し抜いた彼女の満願の人生を祝いたい。
謹んでご冥福を祈る。
少し前になるがTV制作プロデューサーのS女史から、「ゴッホとゴーギャン」に続き「レオナルド・ダ・ヴィンチ&ミケランジェロ」の番組が放映されると聞いた。
番組制作のご苦労はS女史のFacebookや中井貴一さんのブログなどで拝見していた。
バチカンでの秘蔵映像など苦労がしのばれた。
国内でのダ・ヴィンチ展は2度目である。
十数年前、目黒の旧庭園美術館で「ダ・ヴィンチ素描展」だったと思う。
主に発明家ダ・ヴィンチの人体解剖図やヘリコプター、戦車などの展示で、中世の大発明家の創造力に圧倒された記憶がある。
番組ではルネサンスという時代に光をあてると共に、ミケランジェロの「ピエタ」を主題に置き、ミケランジェロと中井貴一さんの母へ思いを交差させていった。
神の手を持つといわれたミケランジェロの作品が未完の姿がなぜ増えていったのか謎としている。
「人は裸で生まれ裸で死んでゆく」ミケランジェロは生まれて早々、誰も持つことがなかった神の手を持ち、時と共に幾重にも賞賛を装い多くの栄誉という荷を引きずり始める。
だが、移ろいゆく時はミケランジェロの装いや荷をもはぎ取り始めたのではないか。
最後の「ピエタ」は正に裸のミケランジェロの姿に思えてならない。
7月11日から等身大のミケランジェロ作「十字架を持つキリスト(ジュスティアーニのキリスト)」が新たに展示されるそうだ。
一見の価値あるかに思う。
http://www.bs-tbs.co.jp/renaissance/
展示会で興味深く見たのはダ・ヴィンチ「蛾が飛び回る炎を前にする人物/詩文による解釈」
写真のスケッチ、右上部分に女性とおぼしき人が炎のうえに舞う蛾をみている。
「われわれは盲目な無知にかくも惹かれ行く、/ そして、そこに淫らな悦楽が加わる。/
真の光を知らぬため、/ 真の光がいかなるものか知らぬためである。」
今年リメイクされた遠藤周作原作「沈黙」・映画「サイレンス」を見た。サイレンスでは、キチジローという人間が信仰に苦悩する。だが、私は「沈黙」のキチジローは篝火に舞う虫だと思っている。
篝火という業火に虫は焼かれ悶え苦しむ。しかし、篝火という信仰の灯りが消えた時、人間にそしてキチジローに安寧はくるのか。遠藤周作はそう問うていた。
「われわれは盲目な無知にかくも惹かれ行く、・・」ダヴィンチが書き残した言葉が、およそ同時代の日本へ届いていたはずはないのだが。今も心の中に響いている。
都心の美術館にめずらしい中庭で、しばらく心の紐をほどいていた。
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【スタッフ後記】
最近のオフィシャルサイト記事のおかげで、いかに自分が今まで知ったかぶりをしてきたのかを思い知らされています。
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロといった誰もが耳にしたことのある作家でさえ、10個作品名を挙げろと言われると厳しいです。
知識の幅を広げなければと思う毎日です。