箱根の向こう(2)富士を越えて<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
早朝、晴れ上がった空が高い。いつもの鞄に冷めたい麦茶をつめ込んで、車に乗り込んむ。朝食はそこらでお握りを買い、ほうばりながらのドライブである。
日差しは初夏の色合い、めったに使わないサングラスを引き出した。
エアコンを止め窓を開け放つ。
気分のいい風が走りさる。
東名高速に乗り厚木を越えて一気に走る。
路面の先に広い裾野の足もとから雪を抱えた富士の山頂が、私の前に立ちはだかった。
からだが大きく背伸びする瞬間なのだ。
足柄サービスエリアでは、レストラン前の椅子で風に吹かれてひと休みするのが、バイクに乗っていた頃からの決まりだ。
足下に真っ赤なチューリップが風にゆれている。
御殿場インターを降り右に曲がり、しばらく走れば富士松展望レストランがある。富士山展望遺産と名乗のるほどの景色は、やはり認めざるを得ない。観光バスが何台も停まり、ここにも異国の風が吹いている。
足下の山裾から青い空まで広がる富士山の眺望は、今も変わらぬ姿で座っていた。
ここから右に左に揺れるカーブが続く。
箱根ドライブの祭りの道は、つまり切った思いを振り落としてゆく道程でもある。
たどり着いた箱根ラリック美術館に雑踏の足音はない。
門を越えるとすぐ、うす紫のハナミズキが迎えてくれた。
そして、私の好きなテラスがある。
ラリックに再会する前、からだを春の日差しにあずけるのだ。
芝生には、まだ朝のかおりが残っていた。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<スタッフ後記>
春の高い空にそびえる富士山。
冬よりさらに雄大に感じますね。