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箱根の向こう(2)富士を越えて<事務所代表 森のfacebookより転載>

Date:2019/04/29

※事務所代表 森のfacebookより転

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早朝、晴れ上がった空が高い。いつもの鞄に冷めたい麦茶をつめ込んで、車に乗り込んむ。朝食はそこらでお握りを買い、ほうばりながらのドライブである。

日差しは初夏の色合い、めったに使わないサングラスを引き出した。

エアコンを止め窓を開け放つ。

気分のいい風が走りさる。

東名高速に乗り厚木を越えて一気に走る。

路面の先に広い裾野の足もとから雪を抱えた富士の山頂が、私の前に立ちはだかった。

からだが大きく背伸びする瞬間なのだ。

 

足柄サービスエリアでは、レストラン前の椅子で風に吹かれてひと休みするのが、バイクに乗っていた頃からの決まりだ。

足下に真っ赤なチューリップが風にゆれている。

 

御殿場インターを降り右に曲がり、しばらく走れば富士松展望レストランがある。富士山展望遺産と名乗のるほどの景色は、やはり認めざるを得ない。観光バスが何台も停まり、ここにも異国の風が吹いている。

足下の山裾から青い空まで広がる富士山の眺望は、今も変わらぬ姿で座っていた。

 

ここから右に左に揺れるカーブが続く。

箱根ドライブの祭りの道は、つまり切った思いを振り落としてゆく道程でもある。

たどり着いた箱根ラリック美術館に雑踏の足音はない。

門を越えるとすぐ、うす紫のハナミズキが迎えてくれた。

そして、私の好きなテラスがある。

ラリックに再会する前、からだを春の日差しにあずけるのだ。

芝生には、まだ朝のかおりが残っていた。

 

富士松展望レストラン

箱根ラリック美術館

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<スタッフ後記>

春の高い空にそびえる富士山。

冬よりさらに雄大に感じますね。