洛北(完)-<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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早春の洛北に本阿弥光悦を訪ねた。
紹介いただいたギャラリー「tonoto・トノト」に降立ち、吹き抜ける風の様な土器にであった。かつて自らが歩んだ刻の足跡を思い起こさせる器の肌と今ここにある白梅が、なにを思わず懐かしかった。
主催の青年は歩き始めたばかり。次は何を見せていただけるか楽しみである。
ガラス越しの日差しの中、にこやかに座っていた。
光悦寺は喧騒から遠く、鷹峰三山を前に茶室のぬれ縁に春風がそよいでいた。
向いの源光庵の山門は何やらお道化た丸窓に和んだが、本堂に上がれば凛とした和尚のしわぶきが落ちてきそうだ。
枯山水に蝉の声は未だ聞こえない。初夏を思わせる草花の向こう、未達の警策が聞こえたような気がした。
常照寺に立つ恋の朱門、晴れやかな白無垢の吉野太夫が手を引かれる参道がそこにある。
ひとの想いを如何にすくい如何に愛でたか、本阿弥光悦の品々や墨蹟が語っているのだろうか。
たどり終え竹林の小道を脇に歩けば、とき折り吹き抜ける風が清々しい。
名も知らぬバス停から北大路の駅にたどり着く。
そこから烏丸線で京都駅まで、振り返る時間もない。
次の新幹線で東京へ帰る。
走り去る景色の遥か
雲に包まれた富士の雪を消し去るまで
季節はいま暫くかかるだろう。
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<スタッフ後記>
訪れる場所にそれぞれの歴史がある。
新しい道を歩き始めた青年は、どう歴史を作っていくんでしょうね。