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閑清寺から<事務所代表 森のfacebookより転載>

Date:2019/04/17

※事務所代表 森のfacebookより転

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先月末の奈良・平城宮でのイベントの翌日、少し時間ができた。

京都から山科に向かい、山のはざまを走る道路から少し登ると見えて来る寺がある。

 

清閑寺である。

車を降りてすぐの階段を上り、高倉天皇陵をへて空に続く階段がある。

山門の背後には薄曇りの空が広がり、天界に向かう寂しげな関所のようだ。

小督局の供養塔が苔みちた庭にすわる。早朝の小雨にぬれた庭の木々には、色づきを待つ固い芽があるばかりだ。

庭奥から望む京の都は、遠く靄にかすみ鄙びた山寺の静寂が心地よい。

 

山門を越え階段から見下ろせば、こちらへ向かう人影が見えた。

跳ねるように登りくる少年の顔が、杣道に春風を運んで来るようだった。

懐かしい森の道は、木々の騒めきと山鳥の声に溢れている。

戻り道に、二人ならんだ道祖神が日差しににこやかにいた。

ふもとに下る道の向こう、紅がきわ立つ子安塔を望むと清水への道は早くなった。

一輪の白椿が、春を拒むように咲いている。

本堂の木組みを見上げ、人の匠に声もない。

いつしか道は、雑踏に埋もれる。

 

茶わん坂を下り、季節外れの浴衣のひとは異国の春を迎えに来たのか。

美しくあるを望むは、ひとの性 ひとの夢

いまだ早い夏の彩を追いながら

物売りの喧騒をくぐり

私は街へ沈んだ。

 

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<スタッフ後記>

人がいないお寺の空気は、独特ですよね。

ゆっくりと心が落ち着いてくるように感じます。