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暗夜行路<事務所代表 森のfacebookより転載>

Date:2019/01/23

※事務所代表 森のfacebookより転載

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先日、古書店で復刻版の書籍を幾つか手に入れた。

いずれも若い時から何度か読んだ作品である。

「檸檬」梶井基次郎、「晩年」太宰治、そして「暗夜行路」志賀直哉である。

先週まで幾つかの未読の本を読み、少しうんざりして書棚から「暗夜行路」を手に取った。

この作品を読むのは学生時代十代後半、二人の息子が生まれた三十歳ころ、そして還暦を半ば過ぎの三度目だ。

最初は有名な作品だと知って読んでみた。二度目は、疲れた日々に書棚の文庫が目にとまり懐かしく手に取った。

そして今、再読して新たに感動した。

簡潔な文体は物語の人物たちを見事に生かしている。それは自ら歩んできた道程が、物語の人物の陰影を理解できる視野を深くしたのかもしれないとも思った。

音楽でも舞台でも絵画でもなく、言葉を駆使して人間を描く文学の奥深さをこの作品に感じた。

昨今、「ネタバレ」という言葉が目についている。私にとっては底の浅い作品の代名詞の様なものだが。

年代や経験などが深まりに合わせて、再読するたびにより深い感動を生む作品こそが最良の文学作品だと思っている。

今日は気持ちよく眠れそうだ。

復刻版の挿絵がとても素晴らしい。

 

「さくら」安田靱彦 「茄子」小林古径


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<スタッフ後記>

スマホを筆頭にコンテンツに触れる機会が多い現代に比べ、

当時はこの厚さの書物に出会うことは、この上ない幸福感を感じたことと思います。

時代が変われば、読み手の受け取り方も変わるのでしょう。