大原路(完)宝泉院<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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三千院の石段を下り、何時ものように宝泉院へ向かう。
すぐに津川の渡橋があり、里へ下る水音が声をあげて転がっていく。
山々からの清水は高野川へ寄り添い、さらに鴨川へと名を変えて古の都へいたる。
今、若々しく弾ける水音に懐かしささえ感じている。
少し進めば実光院の山門がある。この山門の奥、さらに社殿の向こうに里山が見通せる。
だが、盛夏の日差しによしずの陰がやさしく蔽っていた。
宝泉院へ初めて訪れたのは、雪の三千院から一つの足跡がまっすぐに続き、あてもなくその足跡を追いたどり着いてからだった。
突き当りを左に折れ、小橋を渡れば山門から緑が眩しい。
境内脇の桔梗が雨上がりの滴を透くっている。
近年作庭された「宝楽園」の石段を下る。庭はまだ若く、木々の枝も未だうすい。
手水に流れる水が、盛夏の名残を煌めかせていた。
客殿に座り薄茶を前にして、五葉の松が空を囲み雲の影が移ろう。
今ここにある思いを切り取るように夏の雲が走っていく。
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<スタッフ後記>
川の水とあふれんばかりの緑のおかげか、
見て取れる景色は、暑さよりもさわやかな風を感じさせます。
なんとなく、エアコンのなかった時代の人々がどのように避暑をしていたのかが、分かった気がします。