椿山荘庭園<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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7月30日
椿山荘東京アートギャラリーを後に、ホテルの庭園に向かった。
椿山荘庭園はホテルロビーから階下の渓谷へ降りていく。
ガラスの自動扉が開いた途端、真夏の音が降り注いだ。都心とは思えないほどの蝉の驟雨が降りそそぎ、木々の狭間の夏を見上げた。
この場所を訪れる事にためらいがあった。
遠い昔、このホテルで一つの物語が始まり、そして終わった。
以来椿山荘ホテルを訪れたのは数十年ぶりである。この庭で夏の終わりの月を見上げたことを思い出す。
絵画にかこつけて思い出に再会したかったのかもしれない。ここに立つとそんな気もしていた。
朱橋を渡れば、傍らにひょうげた道祖神が挨拶してくれる。
青紅葉の向こうに、隠れるように料亭が幾つか見えてくる。
暫く行けば、水車が息継ぎしつつ軋みながら回っている。
向いの丘に三重塔が見えている。丘へ向かう坂道の向こう、陽が落ちかけて青紅葉が輝いていた。
丘を登り朱の鳥居と社の先に、三重塔がある。手入れされた芝生に座る三重塔は、この庭園の印として威を誇っているようだった。
足下から滝の音が聞こえる。涼し気な音に引かれてくだり見下ろせば、溢れるような水量の滝があった。
五条滝と書かれている。都心の滝音に、しばらく打たれていた。
帰りかけ振り返ると、小川の向こうに教会がある。
石の階段の上には大きな扉があり、固く閉じられていた。
あの時もこの教会はあったのだろうか。
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<スタッフ後記>
最後の写真の教会が、その教会でしょうか。
思い出したい思い出と、思い出したくない思い出。
誰しもあるのではないでしょうか。