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つむぎプロジェクト

つむぎプロジェクト Vol.7

Date:2018/04/26

「つむぎプロジェクト」 Vol.7

 

 【安部龍太郎の和服制作・染め機を織る】

祈織-inori-

絣、機締めの工程に入りました。

先にドラム整経した本番絣用の経糸を緯糸として入れ、経糸に張った木綿糸で防染

隙間のある空羽(あきは)と呼ばれる部分のみ染色されます。

今回の工程で、計算すると59,778箇所の絣を作ることになります。

(ほぼ独学なので、本場大島紬などで必須の技法、締機とは若干様相が異なります。

また、本来は殿方の力仕事なので筬框に鉛を付けています。)

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一番の課題は、打ち込み。

元々殿方の仕事なのですから、力が足りないことは重々承知の上で

満身の力でとにかく打ち込みます。

そして気をつけるべきは、端の部分。

空羽と同じ長さになるように調整しなければ

絣の大小が出来てしまいます。

また、密度のある木綿経糸の開口を一度しっかりしなければ

様々な不具合が生じてきますので

考えた末、私はまず二尺差しで筬を痛めないように優しく開口します。

端の部分の影響が少ないよう、なるべく絣を均一に沢山作りたいので

筬は目一杯幅を使用することも大切です。

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その為、今回の機は幅広のもので

以前、高齢のために染織をやめられた元生徒さんに

御好意で譲渡頂きました。

実はその時点では幅広のものを織る予定もなく

スペースもギリギリで大変悩みましたが

その方の「是非あなたに使って欲しい」という熱意に押される形で

愛知は一色町まで足を運んだことを、懐かしく思い出します。

今はもうなくてはならない家族の一員のように

もう一台の機と共に、我が家に鎮座しております。

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機というのは、使われなければ厄介な大荷物として廃棄されることが殆どです。

しかし一方で、桜や松、栗といった頑丈な木を長年寝かせて作られる機はとても高額で

またかなりのスペースを必要とし、My機というのは染織をするものにとって憧れなのです。

私は有難いことに早い段階で機を頂き、また今回の機にも御縁を結んで頂いて

本当に、願っても無いとても貴重なことでした。

なんといっても、一生を共にするものなのです。

染織を始めた頃から、機の上で死にたい。

そうなれたら本望だと

狭量な世界かもしれませんが

望んだことを全うできるように、精進したいと思います。

 

【Facebook 祈織-inori- @SAYAKAWATANABE.INORI 】

 

-事務所代表 森- コメント

人と一体化する、機(はた)とういう存在が大きいですね。