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西田幾多郎記念哲学館・1

Date:2018/03/09

※事務所代表 森のfacebookより転載

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2月25日 

七尾から金沢へ向かう列車を宇野気駅で下車する。午後の陽は傾き始め肌寒さが降りてきた。

徒歩でも行ける距離とは案内にあったが、閉館までの時間が気になりタクシーで向かった。

降り立ったエントランスは壁のような場所である。運転手さんへ確認すると皆さんここから入館されるという。壁に向かうと間に小さなエレベーターがあった。

エレベーターから降り立った。そう、ここが「西田幾多郎記念哲学館」である。

 

本館へ向かう道は、むき出しのコンクリートが真直ぐに伸びている。左翼の丘陵には古代ギリシアを彷彿とさせる階段状のアプローチが広がっている。

安藤忠雄氏の設計と聞いていたが、丘陵そのものをモチーフに展開し、エントランス前に広がる町並みさえも取り込んだ晴々とした存在感を醸しだしていた。

本館へ進めば、正面には展示室へ向かう通路は、日差しがこぼれるガラスの壁が高く真直ぐに伸びている。

左手には円く広がった空間が、天井から降りそそぐ光に異次元を思わせる。

傾いた陽に展望デッキからの眺望が消えないうちにとエレベーターで昇った。

展望デッキは思いのほか狭い。だが、眼下のアプローチから夕暮れせまる町並みの先、霞む白山連邦が遥かにひろがっている。

西を望めば日本海に夕日が沈む時刻である。だが、今日は過行く雨雲が白むばかりであった。晴天であれば、見事な夕日が一望できる位置にあり、この哲学館は豊穣の時を迎えられるだろう。再訪すべき大きな引力となった気がした。

学生時代、西田哲学と京の「哲学の道」への憧れは、青春の遥か彼方に聞こえる「知」へ甘美な憧れでしかなかった。

「善の研究」や阿倍次郎「三太郎の日記」今は絶版となった角川文庫(単行本サイズ)を古書で買い込み常に小脇に抱えて噛りついていた。無残なもので、今では欠片さえ残ってはいない。

貸し切りの展望デッキに座り込み、遠く黄昏に沈む山なみの彼方に学生時代の面影を追っていた。

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【スタッフ後記】

安藤忠雄氏の芸術性についてはこのオフィシャルサイト上でも何度か題材に上がっています。

写真からは、打ちっぱなしのコンクリートから感じ取れる建物の強さと、

デザインによる空間の広がり、近代の機能美を感じます。