圓光寺再訪
※事務所代表 森のfacebookより転載
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1月5日 打合せを終え楽しみにしていた圓光寺参拝へ向かった。
龍安寺近くの打合せ場所から圓光寺へ向かう町並みには、正月に一息入れたのか人影が少ない。
今回はご迷惑をかえりみず祈織の渡辺紗彌加さんを誘い、厳冬の敷き紅葉の庭を歩いてみたかった。
前日、京都の天気予報は雨だった。だが、運よく雪にでもなれば敷き紅葉が雪に映える姿に出会えるかと期待した。昔、そう三十年ほど前だったか京都に雪が降り積もった朝、駅に降り立ち大原の三千院へむかった。無人の三千院には、晴れ上がった光に純白の雪が輝き、雪の谷間に紅葉が紅く滴り映え渡っていた。
そんな思いとは裏腹に、時折明るい日差しが広がり小雨が光る冬には珍しい日和である。
圓光寺の門前の階段を上がり社務所で拝観を尋ねると、以前お会いしたご住職がお留守番されておられた。ご挨拶と共に、先日亡くなられた葉室麟さんのお話しをされた。作品に圓光寺を取り上げていただいたご縁で、葉室さんとお会いしたことがあった。大変残念だったとお話しされ、安部の健康を気遣っていただいた。
圓光寺は庭前の手水が水琴窟になっており、渡邊さんは水琴窟の音に引かれて、暫し透きとおった清音を取り込まれていた。寒々とした紅葉といまだ緑を残した苔には、掠れながらも紅をたたえた紅葉が懐かしい。
本殿の毛氈に座り、染色への思いや機(はた)の事など渡辺紗彌加さんの生き方その物が着物に現れるお話しを伺った。水の冷たさが糸の色を際立たせる。草木染や陶土から染め上げた糸を紡ぎ、機で織りあげる。
織り上げる修行、祈りなのだとお話しされたように思う。厳しい生き方だと心配にもなり、老婆心を申し上げたが、そういう生き方がとても美しいとも感じていた。
これより迎える厳寒の中、糸を晒し紡ぐ手に痛みが来ない日は少ない。
手を体をそして心を、愛おしまれることを願っている。
竹林の回廊から山沿いの道を登れば、傾きかけた夕日に御所から洛西の向こう、微かに靄が広がっていた。
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【スタッフ後記】
前回の記事でも感じましたが、色彩がとても美しい。
冬の引き締まった寒さの中に現れる華やかな色どりは
寒さで固まった心に優しく沁み込んできます。