花園神社
※事務所代表 森のfacebookより転載
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先日、打合せもあって新宿へ向かった。
伊勢丹の駐車場へ向かう途中、ビルに挟まれた「花園神社」の銀杏が見事に紅葉していた。
妙にこじんまりと銀杏が鳥居を挟み神社の構えになって見える。
花園神社へは上京以来、一度も足を踏み入れたことがなかった。上京したての田舎者には、さ迷い歩いた夜中の歓楽街、その外れにあった境内へなどもぐりこむ勇気などなかった。真夜中、薄暗い切れかけた街灯が風に揺れて、なにやら悪徳の匂いが漂っているようだった。
改めて紅葉の参道を歩けば、狛犬が両脇からにらみをきかせているが、銀杏の葉が舞い落ちる午後の木漏れ日の中では目じりが少し下がり気味とも見えている。敷き詰められた銀杏の黄色の落ち葉が、風に吹かれてさらさらと微かに鳴いていた。
参道奥の手水舎から振り返れば、表の通りが異界の先の小さな窓に見えている。境内は改修工事の途中なのか足場が見えているが、何故か人影が見えない。
先ほどまで聞こえていた都会の喧騒も風の囁きも聞こえない。
参道をもどり始めると、枯葉に覆われた玉砂利が乾いた音で鳴いている。
狛犬を越えると、何もかもが騒ぎ出し雑納からこぼれだした日々が、大通りの向こうから見えてきた。
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【スタッフ後記】
少し前に酉の市にて訪れた際は人々と屋台でごった返していた花園神社ですが、
写真からは普段の静謐な様子が窺えます。
紅葉がとてもきれいです。