妙心寺 雲龍図 <事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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4月18日
-妙心寺-
退蔵院の喧騒に追われるように山門をあとにする。さらに退蔵院に向かう人の列が南総門から続いていた。
北側に座り込んでいる大きな法堂へ向かう。
専門の参拝案内の方に従い、二十人ほどの観光客にまじり靴を抱えて法堂の門をくぐる。
堂内は暗く、照明らしいものはない。古い建物独特の匂いが漂い外気より幾分気温が低く感じられる。
遥かに高い天井に、狩野探幽筆「雲龍図」が黒々とうねっている。
四隅の何処からも睨んで見えるという。
一段高い畳の間に寝転んで見上げてみた。
確かに何処からも龍の目が合い、追われているような気がしてしまう。
探幽の傑作の一つなのだろう、法堂の暗い天井に異界の窓が開いている。
これほど大きな天井に異界を開く雲龍図を描いた狩野探幽の筆に驚かざるを得なかった。
案内の僧は暫く鑑賞の時間を設けてはいたが、次は明智風呂へ向かうと告げ、法堂から早々に追い出されてしまった。
明智風呂、いわゆる蒸し風呂であるが、光秀ゆかり僧が係わったとの事ではあるが、私には全く興味がない。早々に切り上げ妙心寺境内へもどる。
大きな伽藍と共に四十を超える子院塔頭が広がる妙心寺境内は思いのほか広い。
大方丈から北へ伸びる石畳をたどる。
此処には観光客どころか人影さない。
真直ぐな道を右に左に折れながら、ようやく清々しい京の風情を感じていた。
打合せの時間が迫り、戻り道をたどり禅寺の清新な空気がうれしかった。
大方丈から法堂、仏殿、三門と下がり放生池を見ると、一羽の鷺が橋の上で佇んでいる。
カメラを向けるが我関せずという姿で身じろぎもしない。
孤高の鷺は人を気にすることもなく足下へ視線を落としている。
禅寺の鷺が、禅を組んで何が悪い。
そう言いたげな姿に後ろ髪を引かれながら待合せの場所へ向かった。
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【スタッフ後記】
迫力のある龍の面構え。想像上の生物であるはずの龍が、なぜこんなにも世間から認知されているかが、ふと気になってしまいました。
思えば子供のころより男子のあこがれる「カッコイイ」ものの象徴として、龍は身近にいました。
今より何百年、何千年前には、本当に龍はいたのでしょうか。