『維新の肖像』文庫版発売
※事務所代表 森のfacebookより転載
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12月16日 「維新の肖像」が今月21日に文庫化し上梓される。
この作品は、2011年3月11日の東北大震災の最中、安部は日経新聞へ「等伯」を連載していた。
この震災に対し、安部は大きな憤りを抱えつつ連載を終えた。震災以降も東北の抱える軛は、さらに原発事故にも翻弄され今にいたっている。
その遠因は何処にあるのか。この作品は戊辰戦争を生き抜いた二本松藩士・朝河正澄と息子イエール大学教授・朝河貫一の時代を錯綜交差しながら、維新の功罪が日本の敗戦に、現代まで続く東北の、そして日本の軛ではないかと問うている。
一万数千の御霊が失われた刻、安部は鮮明な映像の前でなすすべなく拳を握りしめたに違いない。
私は皇居二条城前の路上で、あふれ出した車が凍り付き異様な静寂が夜の帳に包まれる只中に閉じ込められていた。
翌朝、白々と朝日がのぼり、ようやく軟禁から解放されて友人に連絡した。
開口一番、友人は「俺はこの怒りを必ず描く!」そう言った。
友人の生還を祝う言葉はないのかとも思ったが、つい「描け!」と答えてしまった。
先月文庫化された「冬を待つ城」新潮文庫と「維新の肖像」角川文庫の二冊。
安部の東北大震災への鎮魂であり、東北のそして日本の深層に流れる歴史への問いかけである。
是非、ご購読いただければ幸いである。
発売日12月21日
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【スタッフ後記】
安部の東北への思いが詰まった一冊。
是非お手に取っていただき、ご一読頂ければと思います。