セザンヌと過ごした時間
※事務所代表 森のfacebookより転載
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9月8日 既に初秋の雨 だが、渋谷Bunkamuraル・シネマへ急ぎ向かった。
楽しみにしていた映画「セザンヌと過ごした時間」が公開された。放映時間ギリギリに間に合ったはずだったのだが、既に満席だという。一瞬あっけにとられた。マイナーな映画だし満席など想定などしていない。次回は2時間半後だ。ここで引き下がれようか、待つしかない。
そして、久しぶりの大人の映画に静かに感動した。
画家セザンヌと作家エミール・ゾラの若き出会いは、プロバンスの自然と光の中で輝いていた。パリの薄暗い空の下、才能きらめく二人の青年が時代に翻弄され光と影に分かれ始めた時、お互いの存在が愛しくも疎ましくなっていく。愛と憎しみは表裏一体となって友情を切り裂くことに二人は疲れていく。
雲が低く息苦しいパリの喧騒に作家として花開いたゾラと、南仏エクス=アン・プロバンスの澄み切った光の中で自らの魂を信じ描き続けたセザンヌ。
時代はセザンヌの命に追いつけはしなかったが、彼の魂は時代を越えた永遠をキャンバスに描き上げた。
ピカソやマティスに敬愛されゴッホやゴーギャンなどへ大きな影響を与えたセザンヌは、強靭な魂の芸術家であったことは間違いない。
時代の中で成功を得る才能、時代を追い越した才能、時代に埋もれていく才能。
そして、時代が磨きあげ輝きを増していく才能。求めてやまぬ芸術家という魂。
永遠を得ようとする芸術家は、命を業火に焼き尽くしながら魂を作品に刻んでゆく生き物なのだろう。生涯描き続けたサント・ビクワール山とプロバンスの輝きが画家セザンヌの魂に深い陰影を与えていた。たった一度きり訪れた南仏プロバンスとサント・ビクワール山が私の掌に広がるのを感じていた。
是非ご覧いただけたらと思う。
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【スタッフ後記】
映画の本編は見れていないのですが、
予告映像から伝わってくる映像の美しさに本編へ期待せずにはいられませんでした。
全国の映画館で順次公開が開始されるとのことなので、皆さまぜひご覧ください。