山梨県立美術館「黄昏の絵画たち」<事務所代表 森のfacebookより転載>
※事務所代表 森のfacebookより転載
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河口湖から小雨に追われながら山道を甲府へ向かった。
雲が夏の日差しに走り去る。
若いころ仕事で走った道だった。
疲れを知らない時代の思い出が走り去ってゆく。
山梨県立美術館を初めて訪れるのだが、広々とした公園の緑が雨あがりに緑が輝いていた。
「黄昏の絵画たち」夕景を鍵とした作品が集められていた。風景の抒情を高揚させる落日の光を、画家たちは様々に描いている。
茜に染まる空の色一つ見ても、人々が求める色合いに同じものはない。
高橋由一「芝浦夕景」の落ち着き安らぐ優しい色合いから、カミーユ・ピサロ「ルーアンの波止場・夕陽」の活気に満ちた都会の騒めき、ジョルジュ・ルオー「非難する人たち・エクソドゥス」の赤く燃える祈りの空まで、心に灯る夕景の光は飽きさせることはない。
美術館を出たエントランスの芝生とモニュメントが雨上がりの空に心地よい。
しばらく緑の小山の上に座り、茜が薄く染まる空を眺めていた。
イーゼルを背負ったヴァン・ゴッホのブロンズが、
夕陽に向かい歩いて行くような気がしていた。
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<スタッフ後記>
「黄昏の絵画たち」という名の通り、一つとして同じものはなく、しかしてどの作品の描く黄昏どきにも穏やかでどこか安心するような、そんな印象を受けました。