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能登の祝から(6)<事務所代表 森のfacebookより転載>

Date:2019/07/24

※事務所代表 森のfacebookより転

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鈴木大拙記念館は、金沢へ立ち寄るたびに訪れる場所である。虚飾を削ぎ落した空間が心地よい。中庭一面に水か張られていて波立ちながら空を写している。
奥では時折音を立てて水が吹きあがり、波立ち大きな波紋が広がっていく。怒りを思わせる波紋は、一面に広がり空の影を揺らす。
白い壁の「思索の空間」の樋に下がる鎖樋には、ときおり僅かに水が流れ水滴となって微かな波紋を立てていた。常に波立つ心の襞の一滴として安らぎの波紋を広げている。友人の教えに感謝している。
記念館の思考の紙をいただいた。
「ラディカルの人」エーリッヒ・フロム
「鈴木博士は“ラディカル”の人であった。この場合の“ラディカル”とは、根底まで行くという意味である。・・」
人間の根底、人間の本質まで極めれば、年齢や境遇、ましてや肌の色や性別まで越える事になる。そこから見える風景はどのようなものなのだろうか。むろん私が見ている、さらに見たいと願う風景とは違うことだけは理解できる。
近年、元来の短気でこらえ性のない性格が際立ってきた。足元の道が尽きかけていることへの苛立ちなのか、自らの不足への吐息なのか。
だが、ここに座ると見えぬものを感じることができる。
そして自らを笑うことができるのだ。
多分、再び訪れることになるだろうと思っている。

緑の小道をぬけ本多の森公園の急な石段を踏み、息あがるのを楽しみながら登る。
この高台に目指す金沢美術館がある。

 

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<スタッフ後記>

現代的で静かな印象を受ける美術館。

現代人は都会の喧騒を忘れて、このような場所で多田芸術に触れる時間を持つべきだと思います。