MENU

最新情報

能登の祝から(5)<事務所代表 森のfacebookより転載>

Date:2019/07/22

※事務所代表 森のfacebookより転

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

うすく雲が広がり夏の日差しがやさしい。初めて金沢を訪れたのは半世紀前の真夏だった。博多からリュックを担ぎ北海道を目指した旅の途中である。兼六園を訪れた以外ほとんど記憶は霞の向こうに消えた。ただ焼け付く日差しと高々とそびえる入道雲に、金沢は暑いのだと九州から登り来た私の記憶に刻み込まれている。


ひがし茶屋街を抜け徳田秋聲記念館を訪ねた。学生時代に「仮装人物」を一度読んだきりだが、当時の印象は良くはない。人の心の機微などまだ深く知ることもなく、まして自らを問うことも至らぬ青年であれば致し方ないと今は思う。小説の物語ばかりに気を取られ、心の機微こそが大切なのだと気づくまで、まだ多くの時間が必要だった。


今、読み返す本の山に徳田秋聲が新たに積みあがっている。
やさしい友人はさすがに金沢の良さを良くご存じである。
徳田秋聲記念館から浅野川沿いの道を歩く。川沿いの「秋聲のみち」を風に吹かれながら散策し、浅野川大橋を越え「鏡花のみち」を遡上し木漏れ日を楽しんだ。


浅野川では昔、友禅流しが盛んに行われていたそうだ。水が澄み水量が多いことも利点だったのだろう。華やかな加賀友禅が清水に泳ぎ、川面に鮮やかな華が咲く風景を思った。

古い町並みを歩けば、小道を曲がるたびに足を止める風景が現れる。
これが古都金沢の楽しみ方なのだろう。

徳田秋聲記念館
 

 

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

<スタッフ後記>

緑が印象的だなぁ、と写真を見ていて感じました。

古い街並みに緑が生い茂る光景と、その中を流れる小川の景色は、なんだか涼しげで気持ちがいいです。